銀幕巡礼 劇場で鑑賞した作品やビデオレンタル等、映画に関する様々な情報です。
PREV NEXT
雨上がる 監督:小泉堯史/1999 2002.12.31(TUE)
Ame Agaru/directed by Takashi Koizumi

微妙な映画である。基本的にはよろしい。よろしいのであるが、不満の数々をぶつけたくなる、何ともいじくりたくなる、そんな映画なのだ。
黒澤はもう居ないのだし、敢えて居ない人と同じ路線をなぞっても仕方ない。残された黒澤組の新しい黒澤節を、新たな批評性を持って創造すれば、それで良いのだ。で、それがこの映画の宿命でもある。当たり前だが、そのハードルは高い。だからこちら側、つまり観客サイドとしてはあまり期待しない、といった構造となる訳である。
で、そのハードルはこちらの想像よりも軽く越えていた。それは認める。だけれども、でもさあ…、なのだ。
黒澤映画の硬苦しさからは確かに開放はされてはいた。が、何とも気色悪いのだ。繰り返して言う。悪い映画じゃない。

テーマは最初の5分だか、10分だかのあの宴会に集約されているのではないか? もういいよ、それで。だって、それだけだよ。あの宴会がテーマなら、沖縄連中の宴会の方が100億倍、優れてるぜ。
ビデオテープで観たのだが、途中眠って、巻き戻して、早送りをして、再生ポイントを探して…、って、その時に気付いたのだが、ストーリーのポイントとなる会話がすべて正座した場面だったのだ。何かねえ…。
結局、黒澤から開放されているな、という印象も、その会話のシーンに気付いた時点で消し去られてしまった。事実、ダサい展開なのだ。それって黒澤を間違えて捉えてないか?
物語として確かに黒澤が好きそうな内容だし、現代劇が多かった晩年の企画を覆す意味でも的確ではあったのだが、なるほどこのままじゃ、撮影に入れないよな、ってなシナリオを、そのまま黒澤ブランドで撮影してしまったような気がする。良いのか? これで…。もうすべてが唐突。その割りには単調…。何か違うんだよな…。
雨、木々の緑…、色々最近観られない日本映画であったのは事実です。
何か骨折して病院送りになった安い松坂牛の肉を高いステーキとして喰わされた感覚である。黒島で遊んでる野蛮な黒澤達もきっと泣いてるぜ。もっと好き勝手に撮れば良いのに…。だから次回は松坂牛というブランド名に甘えずに骨自体を鍛えてね。

○○沼君にて
Copyright © 2002-2010 Rakuzou-Koubou/Anacroll Digit All Rights Reserved.