電影堪能 魅力溢れるお気に入り映画達の紹介です。
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あの頃ペニー・レインと 監督・製作・脚本:キャメロン・クロウ/2000 2002.05.17(FRI)
Almost Famous/written & directed by Cameron Crowe

ロックにやられてしまった中年男を描いた『ハイ・フィデリティ(2000)』が面白かった。リスナー・サイドからロックを描くという映画は、有るようでいて実は余り無かったと感じた。賢い視点であった。それにしても情けなかったよな。うん、判る、判る。

片やこの『あの頃ペニー・レインと』は、ロックの現場にどっぷりと参加してしまった、自主的巻き込まれ型の映画である。ツアー同行という、ロック・ファンであれば一度は覗いてみたい、そんな世界/騒動が描かれている。
ロック好きにはたまらないBGMや絶対に盛り上がってしまうエピソード、それに俳優達で組まれた架空のバンド「スティル・ウォーター」も素晴らしいのだが、そんなことを気にしなくても充分に楽しめる、ロック映画というよりは純粋な青春映画として成立している。

物語はキャメロン・クロウ自身の自伝で、実際に「Rolling Stone」誌の最年少記者であったそうだ。ちょっと変わったその体験に基づいた成長物語で、何よりペニー・レイン役のケイト・ハドソンが可愛過ぎる! 中学や高校の頃、隣に居たよな。ちょっとオマセで手の届かない憧れの女の子が。ちょっと親しくなると、大体振り回されるんだよ、こういう子には。

母親のキャラクターも実に良い。DVDの音声解説では実際の母親本人が登場しているのだが、年齢にまつわるエピソードも本当のことのようである。イッてしまっている。
主人公ウィリアム役のパトリック・フュジットはオーディションで選ばれた新人とのこと。彼も良い。初め子供過ぎかなあとも思ったが、中盤からそんなことは全然気にならなくなってくる。

とにかく脚本が良いのだ。強力な骨格の上に、怒涛の小ネタが山盛りに乗せられていて、一向に飽きさせない。ドラッグに、女に、酒に、バンドの確執に、もうあらゆるネタが軽快に楽しく描かれている。確かにロック・バンド周辺というのは、そんなものなんだろうな。

キャメロン・クロウ作品は『バニラ・スカイ(2001)』しか観ていなくて、今一つどんな監督なのかが掴めていなかったのだが、この作品はもうキャメロン・クロウの代表作だろう。自伝という意味だけではなく、キャメロン・クロウのセンスが全編に溢れ出ている。普通、幼少時代にあんな経験をしたら、グレルぜ。でも、キャメロン・クロウは違う。
バスの中、エルトン・ジョンの“タイニー・ダンサー”を合唱するシーンは感動的である。

余談だが、『バニラ・スカイ』が消化不良で、オリジナルの『オープン・ユア・アイズ(1997)』を観てみたら、『バニラ・スカイ』より100倍面白かった! 画も脚本も全く同じなのだが、何か全然印象が違った。ヤッツケでこなしたな、キャメロン・クロウ! まあアレはトム・クルーズの政治的策略映画です。

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