あらゆる世界の月とカビ 権太坂少年 1998/04
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○幼稚園・砂場

圭子(4)が女の子と一緒に砂の城を作っている。
背後では男の子達がライダーごっこをしている。
圭子、手を止めて振り返り、男の子達を見る。

○同・広場

キーキーと奇声を発して、ライダー/ケン(5)を取り囲んでいる園児達。

ケ ン「へぇ〜んしん… トォ!」

牽制する園児達。その群れ/ショッカーの中に祐太(4)が居る。
迫り来るショッカーに、キックやパンチで倒していくライダー。
順番が来て、ライダーに飛び掛かる祐太。
祐太、簡単にやられて地面に倒れ込んでしまう。

○同・砂場

ショッカー祐太を見ている女の子と圭子。

女の子「また祐太、やられちゃったね」
圭 子「…うん」

意気消沈の圭子、諦め顔で再び砂の城を築き始める。
園内に響き渡る男の子達/ライダーごっこの声。

○同・広場脇

先生が現れ、園児達に呼び掛ける。

先 生「皆んな、時間よ!」

○同・砂場

広場を駆け抜けて行く園児達。
立ち上がり、砂を振り落としている圭子。
その背後に近付いてくる裕太。
裕太の気配に気付き、駆け出していく圭子。
二人、自然に手を繋ぐ。

○同・広場

手を繋ぎ並んで歩く祐太と圭子。
横を走り抜けて行く園児達。

圭 子「何で祐太はいつもやられちゃうの?」

祐太、驚いたように立ち止まる。

祐 太「…どうしてわかったの!?」

真剣な表情で圭子を見る。

圭 子「…?」
祐 太「誰にも言っちゃ駄目だよ…?」

圭子、戸惑いながら頷いている。

○同・水飲み場

先生に見守られながら、園児達がはしゃいで手を洗っている。
ケンが水を他の園児達に掛けている。

先 生「ほらっ、ケン、ふざけないで!」

先生、広場の方へ歩いて行く。

○同・広場

広場中央の祐太と圭子。

祐 太「何だあ、良かった! 本当のことは知らないんだ」

微笑む祐太を見つめ続ける圭子。

圭 子「ずるい、秘密にしてる!」
祐 太「内緒にできる? そうしたら教えて上げる。お母さんにも誰にも言っちゃ駄目だよ」

興味深く頷く圭子。

○同・水飲み場

広場を見渡し確認する先生。
祐太と圭子が中央で佇んでいる。

先 生「祐ちゃん、圭ちゃん、早く教室に入りなさい」

賑わう水飲み場。先生、戻っていく。

先 生「こらっ、ケン! 待ちなさい!」

○同・広場

先生が去るのを確認する祐太と圭子。

祐 太「先生にも内緒だよ…」
圭 子「…うん」
祐 太「本当はねえ、ぼくねえ…」

緊張する圭子。息を飲む。

圭 子「……」
祐 太「…本物のライダーなんだ」

沈黙。真顔で祐太を見る圭子。

圭 子「……」
祐 太「……」
圭 子「…祐太、子供っぽいよ」
祐 太「本当だよ、本当なの!」
圭 子「嘘付き祐太…」
祐 太「いいよ、信じなくて。本当なんだから」
圭 子「じゃあ、いつからライダーなのよ? いつ? どこで? どうやって?」
祐 太「生まれてすぐ。交通事故に遭って、博士に拾われたの。そこで人造人間に改造されて、身体の半分は機械なんだぜ。それで地球を守ってるんだ。
本当のお母さんも、お父さんも知らないけど、今のお母さんは僕の事を本当の子供だと思い込んでるよ。だけど、いつか本当の闘いに行かなくちゃいけない。…本当だよ。誰にも言っちゃ駄目だよ、圭子と僕だけの秘密だからね」

素直に頷く圭子。

圭 子「私も守ってくれる?」
祐 太「当り前だろ。全部倒しちゃうよ。もういっぱいやっつけてるんだから!」

祐太、空でキックやパンチをする。

圭 子「私もライダーになる。祐太と一緒に闘う」
祐 太「駄目。女の子には危険だから。それにもう博士、死んじゃったよ」
圭 子「ずるい!」
祐 太「ずるくないよ!」

つまらなそうな圭子。

圭 子「ねえ、ライダーなのに、何でいつもやられちゃうの?」
祐 太「あれは子供同士の付き合いだからさ。本当の闘いはもっと凄いんだぜ!」

祐太のキックやパンチが空をきる。

○同・水飲み場

ケンの襟首をつかみ広場を覗く先生。

先 生「祐太、早く来なさい!」

先生から逃れようと暴れているケン。
先生のお尻目掛け、渾身の蹴りを見舞う。

ケ ン「ライダーキック!」

ケン、先生に頭を叩かれる。

ケ ン「ライダーにそういうことしていいのかよ!」
先 生「うるさい! 誰がライダーなの!
裕太! 圭! 早く教室に入りなさい!」

○同・広場

裕太、圭子の瞳をじっとみつめて呟く。

祐 太「二人の秘密だよ」

頷く圭子。二人、教室へ走って行く。

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