放蕩感銘 「書籍」その他、諸々お薦め作品を紹介していきます。
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火の鳥 手塚治虫 2007.07.07(SAT)
Hinotori/Osamu Tezuka

今更なのだが、『火の鳥』が素晴らしい!
現在のキーワードとして、シンクロしている感覚が多々有り。

手塚治虫が大きな存在であったことは勿論周知の事実だけど、それは上の世代に対するものであって、すでに漫画文化が成立していた俺達世代には、素直に“神様”として認識する程の意識はなかった感触がある。
というか、アニメの普及については良いんだけど、同時に功罪ネタもあったりして、旧世代的な漫画家としか捉えていなかったのだ。

今回本棚に眠っていた『火の鳥』を読み返しているのだが、トンでもないぞ、コレ!
ポールが『サージェント・ペパーズ』録音してる時に、手塚先生、こんな作品を世に残していたのか! そんな中、生まれきてた訳なんだな。凄い時代! 凄い状況だよな!

『火の鳥』を揃えたのは22、23歳の頃で、宗教関連も一応抑えておこうとしてた時期の筈だ。『ブッダ』と『火の鳥』を一気読み漁った覚えがある。

三大宗教をかじった後、仏教が一番肌に合うことを感じた上での『ブッダ』は当然だが、漫画過ぎてしまって、コレクションとしてどうかな、と判断。結果残さなかったのだが(本棚の関係で)、かといって、代表作と言われる『火の鳥』がコレクションとして残すべきなのかどうか…。ってな非常に冷めた印象しか持ち合わせていなかった。

当時、正直どちらも何も来なかったのだ。『ブッダ』の方がまだ楽しめたかな、程度の記憶である。

が、20年寝かせ、読み直し、歳を重ねたことから来る理解なのか、今回は来るんだなあ!

今更ではあるが、本当にトンでも無い作品なのである。
内容そのものは知れ渡っていると思うので、詳しく書かないが、まず漫画としてのクオリティの高さに驚かされ続けている。
そんなことは手塚先生存命の時から散々聞かされていたことなのだが、こちとら大友世代なのだ。
今でもそうだが“絵の上手くない漫画家に興味ない”、が自分の漫画判断基準であり、手塚先生のタッチは幼少の頃から刷り込まれ過ぎていて、正直馴染めなかった。
あの絵で世界を語られてもね…、ってな感覚。

が! 久々に読む手塚漫画! 凄え〜! 上手え〜! 面白れ〜!
映画的手法など、散々聞かされ続けてきたが、今になって初めて判る! トンでも無いアイデアと技術満載のクオリティなのだ! 特にあの遺伝子に刷り込まされているあの絵! これが本当に巧い!

縦横無尽に過去・現在・未来と時代を超え、生命・人間・科学・神…と、世界のすべて丸ごとに対峙した世界観! そしてそのテーマに対する各エピソードを創造力が、ちょっと尋常ではない!

ナルホド! 確かに天才である!
と、今になって、改めて理解/納得している次第。
※天才の条件は「質と“量”」。by 立川談志

漫画に対する状況もあったのかも知れない。
会社時代よりきちんとランチ/定食屋へ行く生活をしていて、漫画を読む機会も多々あり、ページをめくっているのだが…、どれも昨今の漫画は陳腐なネタ、陳腐なカットばかりなのだ。
漫画業界自体、確実にクオリティは下がっている…。
※勿論、きちんとした仕事をしてる人もいるだろうけど、漫画家全体の総数での比率で捉えれば、もう方向性がきっと違うでしょ。クオリティではなく、部数? それはハリウッド同様の低俗性に繋がるよね。

定食屋で読む漫画と呼ばれるものは紙の上に印刷された2D世界。
対して『火の鳥』は紙の中に吸い込まれた感覚の上での3D空間を楽しんでます。もう全然違うわ。

あっ、そうそう。文庫本なんで、解説ついてるんだけど、それもまた、滅茶苦茶面白いです!

ISBN4-04-185101-7
全13巻(未完)
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