19歳の時だ。後にも先にも仕事絡みで涙を流したのはその時の一回だけなので、強烈な印象を残している。
が、ふと気付けば、すっかりそんなことも忘れていた…。ってなことに、今日気付いてしまった。
高校を卒業し、大学へ進学した。映画学校を怖がり諦め、余っていた推薦入学へ逃げ込んだのだが、そこで皆と違っていたのは、学費/生活費を自分で稼ぐ、ということだった。新聞奨学生である。
今、考えれば、何故そんな好き勝手なことが出来る状況なのに、大学の方へ行ってしまったのだろう? まあ、その距離感が実に俺らしく…、ってな感じにも受け取れる。まあとにかく、そっちへ進んだ訳だ。
入学と同時に新聞屋への住み込みが始まる。このシステムが良いものなのか、良くないものなのかは、各個人の見解/各新聞を選んだ時点、配属された店の影響等が大きいので、一概には括れず、敢えてここで言及するつもりもないが、あくまで私個人の話を語らせて頂く。
180度、性格が変わったよ! 確実に歪みモードが形成された! とは言え、まあ色々とあるのも事実な訳で、自分と向き合い、親と向き合い、社会と向き合い…。そんな、きれいごとで片付けられるか! 性格変わっちまったんだよ! 俺は元々ジャニーズ系だ! 馬鹿野郎! 酒もパチンコも知らなかったんだぞ! ってな穏やかな感じで全然怒っていません。良い経験でした。時間返せ!
父がベネズエラ出身、母がマレーシア出身という家庭からなのかどうかは判らないが、元々新聞屋に関しては実に密接な環境で暮らしてきた。たまに日本語、良くワカリマセン…。ニホンゴ、難しい…。
2つ上の兄が大学進学となった時、“俺は新聞奨学生に身を投じ、国家の為に働く!”と宣言したそうなのである、兄が。親達は俺にそう伝えた。果たして本当なのだろうか? 一種の洗脳なのではないかな? 外国人の言うことは良く判らん…。
で、そんな話をされていた2年後の俺も、当然その話に乗らざる得なかった。まあ兄貴には負けたくなかったんだよな…、きっと、この頃…。本当は実に仲の良い兄弟なのだけれど…。さあ本当でしょうか?
で、その奨学生のシステム自体ついては、本当に批判するつもりはないのだけれど、その配属した店の影響によって、その人の運命/人生が、大きく変わってしまうかも知れない、ということに問題がある。本当適当なんだぜ! 各店それぞれ、どれもきっと何かしら絶対的におかしく、良い店なんてルーレットの確率にも負ける筈だ! Y、A、M、S新聞…。けっ! 結局どれも同じじゃねえか!
だから、その業界に詳しい外国人の両親は、その辺のことを可愛い息子の為に良く手配してくれた。結果、笑えたけどな…。嫌味じゃないよ。あくまでも結論だ。
で、色々手配してくれて配属内定の電話があった時は“海老名”だったのだ。学生が多い店は良い店だ、と外国人達も何か盛んに言っていた。これで取り敢えずは一安心だな、ってなムードが確かにあった。実際、海老名へも下面接へ呼ばれ、顔見せもしたし、そんな具合に話は順調に進んでいたのだ。
そんな気分で高校卒業を迎え、本社からの正式な配属通知が送られてくる。で、何故かそこには別の店が指示されていた。≪鶴巻販売所≫ はあ? 間違いじゃないの? 落とすとか、落とされたとかのムードでは決してないのだが、まあ、そんなテキト〜な世界なのだ、結局。そんな奴等の影響で純粋な少年少女達は、腐った大人社会に歪められていく…、なんてね。
毎週、新宿へ遊びに行ってた都会ッ子、いきなり小学校4年生の時に遠足で登らされた山がある温泉街での暮らしが始まる。カルシウム含有率世界一! 本当かよ!
って、このアクシデントが実に! 住めば、都! もう本当に大当たりだったのだ! 学生は俺一人で、同僚なんぞ居なかったけれど、3つ上の大学生の先輩/バイト3名に、25歳の専業さん。もう一人死にそうなオッサンも居た。他に放送禁止のヤバイ人とかも居たけれど、小さな店だからこそ、田舎での店であったからこそ、の和やかな雰囲気で、本当に暖かく向かえて頂いた。
自分自身、初めての一人暮らし。自分の部屋さえ持ったことがない環境からの一転した生活だったので、それは、それは興奮した! 酒の飲みから何から、俺の遊び方の基本はすべてその先輩達から学んだモノだし、人生の崩れ方を恐れないのも、その時の先輩からの影響だ! 教えるな、そんなこと!
女性への積極的なアプローチこそ礼儀である! とも教え込まれたな。最近こそ、やっと自分の歴史/女性像がおぼろげながら見え始めてきたので、多少判断出来るようになったつもりではあるが、本当この時に埋め込まれた遺伝子は深く深く染み渡り、色々好影響にも悪影響にもなったよな…。
仕事の面でも、真面目な俺は期待以上の成果を上げて皆から嫌がられた! 判る人には判ると思うが、残証1枚だぜ! 1枚! 凄いだろ! 最初の1回目の集金だけだったけど…。いや、本当、我ながら凄い! 凄まじい! またその残り1枚のお客さんを翌月知った時も感動したよな。だって決して取れない人じゃなく、本当に良い人で、ゴメンね、って謝られたのだから。南風荘の1F! あなたは偉い! 何故その人の1枚だけが取れなかったのも、実に俺らしい。詰めが甘いというか、いや〜、良い思い出だ。
てなっ感じで、仕事もしつつ、自分自身も成長した時間だったのだと思う。「瓢箪から駒」ってなハプニングだった。
そんなハイテンションで過ごした1年半が、突然終わる…。店が潰れたのだ。
店主はそんな雰囲気こそ、一切、俺には見せなかったが、とにかく潰れたのだ。余談だが、その辺の空気/状況を伝えると、外国人達はさすがに詳しかったな…。
お世話になった店は翌日からS新聞のみの販売となった。店はそのまま、従業員もそのままである。扱う新聞を絞ることでの対応となった。で、その今までメインであったY新聞は、同じ街に新たな店舗として立ち上げられた。
で、俺の身の振り方である。人が移動すると、紹介料というものが発生する。本当ヤクザな商売だよな。何故かA新聞に勝手に紹介された記憶がある。俺は専業じゃなく、奨学生だってえの! 別の新聞へ変わることも勿論出来たのであろうが、当たり前だが、その時点で学費が払えなくなる。俺は店との契約ではなく、 Y新聞との契約なのだ。“インテリが作って、ヤクザが売る!”のY新聞である。どう仕様もない。指示された配属店へ赴き、その店が潰れ、また新しく出来たその店で、明日から配れ。以上である。おお、配ったよ!
配達に出れば、今までお世話になったS新聞の先輩達と何度も擦れ違う。俺は俺で昨日まで一緒に配っていたS新聞が無くなり、少し軽くなったY新聞を配り続ける。変な感じだった。
そんな状況で1週間ぐらい過ごしたと思う。新聞屋なんて、大した人物はそうはいない。職業差別と非難を受けてもいいが、新聞屋の中でずっと子供時代を暮らしてきたのだ。俺には言う権利がある! 変な人を沢山見て来ている。見慣れている。外国人の親に生まれなかったら…、とかそんなことも考えた時期がなかったかと言えば、嘘になるが、まあどうでも良い、そんなこと。結論。本当に最低の仕事なのだ。あそこから世の中を動かすような人間は生まれてはこない! そんなこと、当たり前か…。
朝刊が終わり、その新しい店に戻ると、別の店で一緒に働いてきていた、その立ち上げに参加した専業さん達の5、6名のシキタリ/ルールがあった。別になんてことは無い、誰が掃除するとか、片付けるとか、そんなレベルのことだけど、それが俺には異常な程、うっとおしく感じられた。俺の方がこの土地について詳しいのに、俺は只の新参者なのである。そんな無駄なことは今迄しなかったよ…。何でそんなこと指示されなきゃいけないんだよ? 等と思いながら、お互い一定の距離より近づけず、本当に変な空気が漂っていた。
そんなことだから、お前がいた店は潰れたんだ! ってな何気ない嫌味が散々飛び交った。ハッキリとした、明確な部外者としての立場以外、俺には何もなかった…。俺だって、S新聞へ行きたかったんだよ!
別に何気ない、どうでもない会話の時に、頭にタオルを巻いて汚いジャージからヨレヨレのシャツがはみ出たあのクソ野郎が突然吐き捨てるように俺に言った!
「お前は必要ないんだよ!」
クールな家庭なので、滅多にそんなことはしないのだが、この時ばかりは実家に国際電話を掛け、泣きながら伝えた。「もう限界だ…。店を変える…」
その後、Y本社へ赴き、訴えたが、人間としては扱って貰えなかった。今でも覚えている。I! お前だよ。「慈善事業じゃない」とか言ったよな。お前の立場も判らなくも無いが、本当人間として最低の野郎だぞ。お前も! 奨学生出身者にはそういう馬鹿が多い!
で、再度全くゼロからやろうとしたら、新たに指定された配属店は“海老名”だった…。じゃあ、最初からそうしろよ! その1年の間で、何人か辞めたので、その補充なんだろ、きっと。最低。で、この店…、何も語りたくありませんの2年半…。
思い出すと、俺は偉い! としか思えないけど、じゃあ、今より働いていたのか? さあ? でも何か質が違うんだよな…。あの仕事は…。1週間ぐらいなら、今でも出来そうだけど、未来を売り飛ばすことは、やっぱり俺には出来なかったな…。人間を捨てるには丁度良い場所なのかも知れない…。
そうだ。本題を忘れていた!
最近、軽々しく「お前は必要ない!」等と言う輩がいる! あらゆる罵声には慣れてはいるが、どうもその一言だけはどうしても気に掛かる。それで、その原因をふと思い出したのだ、今日。それがこのエピソードなのだ。
どこまでの意味/気合で、その言葉を口にしているのかどうか、なんてことは知らない/関係ないが、それは相手に対して使うべき言葉ではない。使うなら本当の最後の1回だけにするべきなのだ。毎日毎日、そんなことを言われ続けたら、どんな人間でも確実に歪んでいく。相手のことを考えろ、という前に自分の言動に気をつけましょう。
建設的な言い合いは積極的にやるべきだ。が、一方的な説教なら時間が勿体無い。時間を短くするか、スタッフの意見に耳を傾け、建設的な話をしましょう。簡単に言うとやな…、が何で2時間、3時間になるのかが、理解出来ん。
あと1点。子供の笑顔の為にモノを作れ! などと綺麗ごとを叫びつつ、道にタバコを捨てるな!
他にも諸々あるのだが、取り敢えず以上3点が、俺が基準と考える現状打破のポイントである。
まあ、この言葉が生理的に許せないのは、俺だけではないでしょう。
先日、久○さんが退社された。優秀な女性だ。彼女のレベルでダメ出しを続ける限り、きっと先はない…。